「スマブラ界隈は民度が悪い論」の考察と深堀り

はじめに

この記事を通して、いやスマブラ界隈はむしろ民度が良いんだ!などと主張するつもりは一切ありません。スマブラコミュニティを10年以上観察をしているので、良いも悪いも知っているつもりです。

 

スマブラ界隈は民度が悪い論に違和感を覚える理由

この論、スマブラコミュニティに深く関わった人ほど違和感を覚えると思います。その根拠として

民度が悪かったら、参加者2000人クラスの大会をたった数十人のスタッフでスケジュール通り裁けるわけがない

民度が悪かったら、任天堂が出したユーザー大会ガイドラインスマブラユーザーコミュニティの活動と信条に寄り添った内容になるはずがない

民度が悪かったら、ドワンゴ主催任天堂公認大会の予選がユーザーコミュニティ大会で行われるわけがない(闘会議GPスマブラWiiUniconicoチャンピオンシップ)

 

ここらへんが簡単に用意でき威力があるものとして提示できると思います。民度が良いと主張することはしないが特別悪いではないだろう、という考えが大半ではないでしょうか。

 

スマブラ界隈とスマブラコミュニティはイコールではない

そもそもスマブラコミュニティとは、スマブラ好きのやつらが集まって公式の手を離れ、それぞれの熱意と信条のもと好き勝手やった結果形になり増殖し大きくなったものです。ですのでスマブラ界隈の中のひとつにスマブラコミュニティがあることになるわけですが、外部から見たらそんなこと当然わかるはずもないでしょう。

 

たいていの場合、人気のゲーム配信者/動画投稿者がスマブラに手を出したときのコメント欄を指して民度が悪いと唱えられますが、そこはスマブラコミュニティじゃありません。(下図赤矢印がそれです)

また、人気のゲーム配信者/動画投稿者がスマブラコミュニティで盛んに遊ばれているものと同じルールで遊んでいたとしても、そこのコメント欄はその配信者/投稿者のコミュニティであって、戦場がスマメイトやタミスママエスマ、オフ大会でなければスマブラコミュニティとは呼べないでしょう。以前存在した幕末志士のスマメイト配信クラスで初めて「中間」と呼べると思います。

(警告 オンをオフの下に見てんじゃねえよなどと言われそうですが、オンオフどっちの大型大会がより世界に注目されているかを考えればそこにヒエラルキーが存在するのは明らかです)

 

それにしても目につく、なぜ質の悪いコメントであふれるのか

ここからは考察になります。

まず挙げられるのが「シンプルにスマブラやったことある人=スマブラに一定以上興味がある人の母数が多い」です。民度に質の差のようなものはたいしてなく、母数が大きくなればなるほどそれに伴ってヤバいやつの数が増えるだけ、という主張です。容姿の言及やプレイヤーへの人格批判、ゴシップ等の下世話系コメントは母数のデカさによって生まれていると考えられます。いわゆるニワカであるほど、オフラインコミュニティから遠いほど、「コアな話(対戦やキャラに関する深い知識)はよく知らないけどコメントで何か発信したい」と考えたときにこれら下世話な内容になるのではないでしょうか。また、その条件に当てはまる人ほど下世話な話題への反応が良いから、反応を期待した下世話な内容の荒らしが発生する相乗効果が生まれてるかもしれません。実際、過去スプラトゥーン公式大会のコメント欄がそういった層によって容姿レビューで溢れたことがあります。

 

またスマブラコミュニティにおいて、スマブラ任天堂から借りているものであるという認識のもと、2014年スマブラ4発売以降は外部からみられる部分には特に強い注意を払うようになりました。そのため、スマブラコミュニティ大会の配信でタチの悪いコメントをしようものなら驚くべき数監視しているモデレータによってすぐさま制裁が入ります。その反動でスマブラコミュニティから追放された悪質なコメント群の主たちが、スマブラコミュニティじゃない配信や動画、もしくはBANから逃れている海外向け英語大会配信のコメント欄で暴れ散らかしている様子が広く確認されています。例えば、この前行われたRAGEのスト6イベント(もちろんスマブラコミュニティではない)にザクレイが参戦していたわけですが、案の定スマブラコミュニティから追放された3つ4つほどのアカウントが一生スマブラ関連の内容で荒らし連投を行っています。

 

次にあげられるのが、スマブラ競技シーンの構造に起因するイキりです。スマブラの競技シーンはひとりで/VIP部屋、スマメイト/オンライン大会、オフライン大会の三層構造になっています(上図の赤線で囲った3つの白い円がそれです)。それぞれがまあまあ弱い接点でしか接続されていないため、VIP部屋をやりこんだ先に篝火やマエスマ、あcolaミーヤーが存在するというイメージが湧きにくくなっていますし、実際そうです。VIPでそれなりに勝ててしまえば(勝率4割ほど…?)、自分もオフの大型大会に出場することさえできれば予選突破ワンチャンあるという実力の誤認を発生させ、それがいわゆる名人様コメントを誘発させているのではないでしょうか。お山の大将効果とでも呼びましょう。もちろんこの構図は、神である桜井さんの意向通りであるため「だから良くないんだ」などと申し上げる気はございません。スマブラがもともとカジュアルを意識した作品であることを考えれば、それは妥当なことでしょう。

 

参考 いわゆる最強の可視化を避けた桜井さんの表明

www.youtube.com

 

界隈はコミュニティじゃないのか

ここまで主張をつづけると、「お前は都合の悪い臭いものを俺たちの領域じゃないと言いたいだけじゃないか」と突っ込まれそうなので、界隈とコミュニティは別である根拠をもっと強固にしていかなければなりません。コミュニティとは、信条や哲学、価値観が近い人たちの集まりです。近い人がいるので居心地が良いですし、協力や共同活動をすることで自分に自信がつき、また自分の存在理由の証明になります。所属コミュニティの少ない中年が宗教や市民活動にハマるのもこれが理由です。では、スマブラ界隈(スマブラを購入した、遊んだことがある人たち)はコミュニティなのでしょうか?答えはNOです。スマブラは1500万本売れてますから、この人数をコミュニティと呼ぶためには中規模宗教ほどの歴史とシステムが必要です。また、界隈が信条や哲学、価値観を共有していないことは遊び方でも説明ができます。例えばスマブラコミュニティではスマブラは相手の下に位置取ると基本有利、復帰の際できる限り空中ジャンプは残しておかなければならない、シュルクモナドアーツはクソルールにおいて最強などといった考えのもと遊んでいますが、間違いなく1500万人がこの遊び方を共有してはいないからです。

 

さらに、こう言い換えることもできます。スマブラはコミュニティをタイトルで括ってはいけない稀な、イレギュラーなゲームであると。本来ゲームタイトルでコミュニティを括る行為は自然なはずです。例えばスト6で界隈といえばSFL、マスターリーグ、オンライン大会/イベント、オフライン大会/イベント、そしてそれらのコメント欄やSNSが当てはまると思います。これらはすべての環境で信条や哲学、価値観が共有されています。私の過去の記事

skpk35.hatenablog.jp

でも述べていますが、これはスト6の遊び方が限定されているからこその特徴です。スト6ほどタイトル=コミュニティで括ってOKのゲームはなかなかありませんが、それでもだいたいの対戦ゲームは「厳密にいうとナットイコールなんだけどおおむねイコールだから細かいこと気にしなければ括っていいっしょ」というレベルに収まっています。

 

 

まとめ

・母数が増えればそれに伴ってヤバいやつの総数(量)が増えるだけで、質の良し悪しのような概念はほぼ存在しない

スマブラに手を出した個人配信者/投稿者のコメント欄はスマブラコミュニティではない

スマブラの競技シーンはイキリが発生しやすい三層構造になっている

・ゲームタイトルでコミュニティを括るのは本来比較的自然な行為なのだが、スマブラのみそれをすると大きなズレが生じる