ライザのふともも革命 ライザのふとももとザクレイジョーカー理論

 ライザのふとももを太いと思う人は多いだろう。長い歴史の中でふとももが太いキャラは沢山存在したが、なぜライザに限りmemeになる勢いでここまで騒がれたのだろうか?そこにはライザのふとももにある違和感、二次元表現の限界突破があったからではないか、という説を私は提唱したい。この記事ではそれの解説とそれを裏付けるいくつかの根拠を並べていく。

 尚、前提としてライザはトリダモノ氏が描いた公式イラストのみをライザとして扱うこととする。(ゲーム内3Dモデリングだと体型がちょっと違う)

(3020字 8分)

 

 

併せて読む→

www.4gamer.net

 

・序章 なぜ私たちはライザのふとももに注目してしまったのか

 確かにライザのふとももは太いのだが、インターネットmemeになるほどのインパクトがあるかと言われるとやや疑問がある。meme化するなら3rdのチュンリーくらいのインパクトは欲しいものだが…私はここにトリダモノ氏のふとももに対する熱い情熱が関わっていると考えている。

↓3rdのチュンリー

 

・ふとももに視線が誘導させられるマジック

まずはこの画像を見てほしい

ライザ1の公式イラストはホットパンツとベルト、サイハイブーツ、そして右手の手袋で茶や赤の濃い色が使用されていて、それ以外は淡い色で統一されている。これは色の濃淡によって視線をふとももに誘導する効果を狙っていると考えられる。また、注目すべき点としてふとももに添えられている右手のみ手袋をしていて、ふとももに添えられてない左手は手袋をしてない。筆者はカメラ写真の構図を少しかじったことがあるが、これはホットパンツ、右手袋、サイハイブーツでふとももを囲うことによって枠・窓型構図(フレーム構図)と同じ効果を発揮していると考えられる。左にも手袋があると視線誘導の邪魔なのだ。

 

枠・窓型構図参照↓

logcamera.com

 これらの工夫で、第一段階として私たち受け手はふとももを注目することになった。ではそのふとももには何があったか?タイトなホットパンツとサイハイブーツで締め上げられ膨らんだふとももが露出しているのである。

 

・ライザのふとももの違和感

まずライザの足をよく見てほしい。

 一般的に「ふともも(股関節~ひざ)(青線)」と「ひざ~足首(赤線)」の長さは比率的に1:1に近くなるように描かれるが、ライザの足はふともも(股関節~ひざ)(青)よりもひざ~足首(赤)のほうがかなり長くなっている。また、ふとももの太さとは真逆に、ひざ~足首はいわゆるモデル体型かのようにほっそりと表現されている。太いふとももは肉感的、悩ましい印象を与え、細長い膝下はスタイリッシュで大人びた、スポーティな印象を与える。この対比効果によって、私たち受け手はライザのふとももを肉感的でありながらスタイリッシュでもある印象を受け、また必要以上に「太い!」と感じてしまうのだ。

 

ミミロップ体型

このふとももが太くてひざ~足首が細い体型を筆者は「ミミロップ体型」と勝手に呼んでいる。

ミミロップ

このミミロップ体型、手塚治虫がウサギやネズミなどの旧げっ歯目動物をキャラクター化するために開発し、それがミミロップを経て我々動物擬人化界隈に脈々と受け継がれてきたデザインだと筆者は勝手に思っている。

手塚治虫が開発した(と筆者が勝手に思っている)ミミロップ体型の始祖

実はこのミミロップ体型、あくまで動物を擬人化したアニメライクなキャラクターをデザインするのに活用される技法であり、リアル等身に寄ったキャラクター"ライザ"に用いるのは違和感が出て本来は困難なのだ。それを成功させた要因はサイハイブーツにあると思われる。太いふともも細いひざ~足首を同じ色でシームレスに接続することで違和感を抑える効果を果たしているのだ。

↑茶色一色のサイハイブーツによってひざ関節の位置が分かりにくくなり、またふともも/ひざ~足首の太さ差が目立ちにくくなる。結果ミミロップ体型を人間キャラに適用した際の違和感をだいぶ抑えている。

 

 しかし、本当にそれだけで違和感を抑えきることができるのだろうか?まだ何かあるはずだと思考を巡らせていたところ、思わぬところから解へのヒントを得ることができた。それがこれである。↓

 そう、天才トリダモノ氏はデフォルメが難しいリアル等身寄りのキャラクター"ライザ"を、細部にまで拘った繊細で鮮やかな画力で描き切ることで、ミミロップ体型のような強めのデフォルメであろうともおかしいはずがないと私たちに強引に納得させる圧をかけているのだ。つまり、ザクレイジョーカー理論である。ザクレイジョーカーは歩いているだけでめちゃめちゃうまく見えるし、ショートジャンプをひとつするだけで芸術にみえてくる。普通のジョーカーなら通せないような太い択や連携も、ザクレイジョーカーならばザクレイジョーカーがザクレイジョーカーたる"圧"を使って通してしまう。私たちはザクレイジョーカーに憧れるのと同じように、ライザのふとももに憧れたのだ。

 

 余談だが、筆者はこのふとももとひざ~足首の長さが違う違和感を厳密に確認するためにライザの公式水着イラストを探したのだが、なんと足先まで映っている公式イラストが見つからなかったのだ。もしかしたらこの違和感は公式も認識しており、ふとももとひざ~足首の長さが違うことをわかりにくくするためのサイハイブーツを描写できない水着イラストでは足先描写禁止令が出ているのかもしれない。

 

・ライザのふともも まとめ

・トリダモノ氏は初めからライザのふとももに注目してもらうための罠を敷いていた

・ライザはそのふとももを強調するために、あえてミミロップ体型を採用した

ミミロップ体型は本来アニメライクなキャラに使用されるデザインだが、サイハイブーツとザクレイジョーカー理論を巧みに使いふとももの違和感を抑えきることに成功した

 

 

・あとがき ライザのふとももは解放する

ここまでがライザ1のお話である。ここからは2と3の話。

 

↓2のライザ

ライザ1の成功によって、「ライザのふとももは太いものだ、太くても別に違和感がない」概念を大衆に植え付けた確信を得たのか、ふとももひざ~足首の違和感を抑えるために存在したサイハイブーツを片側だけ無くすという英断に出る。その代わりに足首まであるブーツだけ残すことによってふとももひざ~足首の長さの差の違和感だけはなんとか抑えている。違和感を抑える要素が減ったため、1を経ずに2を見た人は違和感を覚えるかもしれない。

 

↓3のライザ

サイハイブーツが戻る。

3枚目のイラストはサイハイブーツを履いているものの姿勢と構図の関係でふとももひざ~足首の違和感をうまく抑えることができなくなっている。1や2のようなタイトな衣装で締め上げることでふとももを強調する方向性からは離れ、あくまで自然な太さを強調したデザインになった。ナチュラルに太すぎる。これなら3rdのチュンリーにも立ち向かえるかもしれない。

www.youtube.com